◆S49. 9.30 東京地裁 昭和29(行)58 租税債務不存在確認等請求事件(46)◇
が、後者の目的は、個人開設の病院について、その病院長が年輩になり後継者に病院を承継させる場合に多額の相続税を課されるために病院経営を継続し得ないことが起つている実情であるので、かかる場合にも医療法人に組織替えしておくことによりそのような問題を解決することも目指している旨、提案理由を説明し、また、同委員会の質疑において、医療法人設立に当たり出資された場合に医療法人又は出資者に対して課税がされるかとの問に対し、「出資をした場合には税金はかかりません。それから最近税法改正の方針が変りましたようでありまして、財団法人に寄附をいたします場合、・・・・・・贈与税を課さないということに方針が改まつたということを聞いております。」と回答していることが認められるが、これらの発言は、当時の相続税法の下では、法人の財産について、出資者等の死亡による相続税の課税の余地がないから、結果的に医療法人に対しても相続税の問題は起らないとの趣旨を説明したほか、財団法人に対する贈与税の課税に関する法改正の見込みを述べたものに過ぎず、これをもつて、医療法人制度が相続税等の負担を免れるために利用されることまで、政府において是認したものとはとうてい解されず、一方、証人p28、同p29の各証言及び原告A、同Bの各代表者尋問の結果中には、当時、当局の職員等が、医療法人の設立により開業医の死亡等による相続税の課税等を免れ得るとしてその設立を勧奨又は指導したとする供述があるが、これらの当局職員等の指導・勧奨の趣旨は、結局、前認定の第七回国会厚生常任委員会における政府委員の説明と同趣旨に出たものであつて、もとより、その後、医療法人制度が相続税等の免脱のために利用される事態を生じても、医療法人に対する相続税等の課税を許容するような法改正はいつさい行わないことまでも保障したものでないことは自明の理であつて、当時右のような当局者の指導があつたことを根拠として、その後、相続税法六六条四項のごとき法律を制定すること及び同法条に基づいて課税処分を行うことが信義に反するということはできない。
よつて、医療法人に対し相続税法六六条四項を適用するのは信義則ないし禁反言の原則に反するとの原告らの主張は、失当というほかない。
7


