◆S49. 7.19 東京高裁 昭和48(行ケ)34 審決取消請求事件(16)◇
正取引委員会に対し不服申立をすることができると規定しているのである。ただ、同条項は不服がある者は不服の申立ができると規定しているにとどまるので、その字句からは、何人でも不服があればすべてこの不服申立ができるように解釈することも可能のように見えないでもない。
しかし、同法一〇条六項の不服申立は、本質的には、行政不服申立の性質を有するものであるところ、一般に行政不服申立は、特段の定めのある場合を除き、違法ないし不当な行政処分を取り消すことにより、その行政処分によつて権利ないし法律上保護された利益の侵害を受けた私人等特定の権利主体を救済するためのもので、それによつて適正な行政が確保されるという効果をもつものではあるけれども、私人等の救済とは関係なしに行政の適正な運営の確保自体を目的とするものではない。
ただ、いわゆる民衆争訟は、法律に認められた特別の場合国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める申立で、たとえば、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものであるから、その申立の要件として権利保護の利益の存在を必要としないと解されている。しかし、法規の適正な適用において国民の一人としての個人が他の人々と共通してもつ利益は、個人的利益ではなく、一般的利益であつて、このような利益は本来私人等特定の権利主体の権利・利益を個別に保護するためにある争訟制度によつて保護されるべき利益ではないというべきであるから、このような利益の擁護のため不服申立を許すことは、結局民衆争訟を認めると同一に帰し、そのためにはその旨の特別の規定を必要とし、そのような明文の規定のある場合に限り、不服申立が許されるといわなければならない。しからば、同法一〇条六項の規定をこのような民衆争訟を定めたものと解することができるであろうか。この規定をもつて個々の消費者として有する具体的権利義務の存否について争うのでなく、公正取引委員会のした公正競争規約の認定処分そのものを違法であるとして、これに対し行政不服申立を認めた規定と解することは文言の体裁上困難である。更にもしそのような行政不服申立を認めた規定であるとすれば、通常その不服申立についてした行政庁の決定に対し、裁判所に


