◆S49. 7.15 東京地裁 昭和46(行ウ)8 租税賦課処分取消請求事件(15)◇
抵当権等を有していた債権者らに対し、その登記の抹消を求めるため同債権者らの請求にかかる利息制限法所定の利息、損害金をこえる金員を支払わざるを得ず、また、同土地について所有権移転請求権保全の仮登記を有していた旧債権者にその抹消を求める関係で金員を喝取されたが、これらは契約締結促進費に当たるから、譲渡経費として控除すべきであると主張する。しかし、旧所得税法三三条三項にいう「資産の譲渡に要した費用」とは、譲渡のための仲介手数料、登記費用等のように、当該資産の譲渡のために直接かつ通常必要な経費を指すものと解すべきであるから、原告主張のように、本件土地についての抵当権設定等の登記を有する債権者らに対する利息制限法の制限をこえる利息等の支払いや、同土地についての所有権移転請求権保全仮登記を有する旧債権者に対する金員の交付が、本件売却の契約締結を促進しようとの原告の意図に出たものであつたとしても、これらをもつて「資産の譲渡に要した費用」と解する余地はなく、また、そのうちc及びdに対する支出分が、原告主張のように本件土地の所有権保全のために支出されたとしても、これを資産の取得価額の一部を構成するものとみることもできないのはいうまでもない。
(四) 廃業による損失
原告は、本件売却に関して、代替土地の取得が遅れたが、右売却に基づく本件土地の引渡しを約定の期限に履行しなければならなかつたため、従前から同土地上で営んできた養鶏業を廃業し、営業用機械を他へ寄贈し、種鶏を肉鶏として売却せざるを得なくなつたので、右損失を本件売却についての譲渡経費として譲渡収入から控除すべき旨主張する。しかし、右損失は、本件売却によるというよりは、むしろ原告による代替土地の取得が遅れたという特殊事情によつて生じたものであつて、これを事業上の損失として事業所得金額の計算上控除し得るか否かは格別、これが本件売却に直接かつ通常必要な経費に該当するとはとうていいうことができ、ないから、原告の右主張は失当である。
3 旧租特法三三条一項の適用の可否
原告は、小金井市には普通郵防局(いわゆる本局)がなく、これを誘致する必要があり、その庁舎敷地として本件土地以外に適切な土地がなかつたため本件売却に及んだ


