◆S49. 7.15 東京地裁 昭和46(行ウ)8 租税賦課処分取消請求事件(10)◇
二三〇〇羽を飼育していたところ、前記(ア)と同じ事情によりこれらをすべて肉鶏としていわゆる「つぶし」価格で処分せざるを得なかつた。ところで、種鶏の価格は、生産原価でも一羽一〇〇〇円を下らないが、「つぶし」価格は一羽平均三五〇円であつたから、原告は右処分により合計一四九万五〇〇〇円の損害を受けたものである。
3 旧租特法三三条一項の適用について
(一) 旧租特法三三条一項により、同法三一条一項二号に該当する資産の売買について所得税課税上の特別措置が定められているのは、土地収用法上の一定の要件をみたす公共の事業の対象となつた土地については、私有財産権はその円満な行使を制限され、その譲渡対価は通常の自由な取引において実現されるものに比してはるかに低廉になるのであるから、このような権利者に対し税法上の優遇措置を講ずることによつて私有財産権相互の間の実質的公平をはかり、結局は公共の事業に必要な土地等の収用を円滑にする趣旨に出たものと解すべきである。したがつて、同法三一条一項二号所定の「資産について買取の申出を拒むときは土地収用法等の規定に基いて収用されることとなる場合」とは、当該公共事業が土地収用法等の事業の認定を受けている場合に限らず、これを受け得る可能性があるため、対象土地の私有財産権がその円満な行使を妨げられ、自由な取引におけるような譲渡対価を実現し得ない場合をも含むものというべきである。
(二) ところで、小金井市には市制施行後も普通郵便局(いわゆる本局)が存在しなかつたためその誘致運動が起こり、同市長らは、昭和三九年ころから原告に対し本件土地を郵便局庁舎敷地として提供するようにとの交渉を始め、その後郵政省が、本件土地以外の庁舎敷地候補地についていずれも地理的条件等の点で難色を示したため、同市当局者は昭和四〇年末ころ原告に「小金井市への郵便局誘致のためには本件土地を提供してもらう以外に方法がない。」と懇請するに至り、原告に郵政省担当者を引き合わせて膝詰めの交渉に及んだ結果、原告は昭和四一年六月一七日本件売却をするに至つたものであつて、当時の本件土地の時価は坪当たり二〇万円を下らなかつたが、右売却における価格は坪当たり一二万六三〇〇円にとどまつたのである


