◆S49. 7.19 東京高裁 昭和48(行ケ)34 審決取消請求事件(6)◇
財産上の損害を受けるであろう。すなわち、天然果汁より無果汁飲料の方が原価が安いことは言うまでもないことであるところ、本件規約においてこの区別をあいまいなものにした事業者側のねらいは、無果汁飲料を天然果汁と誤信させて天然果汁と同じ価格(ないしは、なるべくこれに近い価格)で消費者に買わせようということにあり、仮に本件規約作成の動機がそのような詐欺的なものでなかつたとしても、結果的にそうなる危険性がある。そうすると、違法な規約認定の結果生ずる誤信によつて、事業者は、当該無果汁飲料を天然果汁と誤信させることによつて付し得た価格と、無果汁飲料であることを明示した場合に販売しえた価格との差額に相当する額の不法な利益を得ることになり、同原告はこれに相当する財産上の損害を受けるおそれがある。
(ii) 仮に無果汁飲料がそれ相当の価格で販売され、従つて、同原告がこれを不当に高く買わされたのではないという場合であつても、自分が買うつもりでなかつた商品を買わされ、その反面、自分が買うつもりであつた商品が買えないということになり、そのこと自体が不利益である。同原告について、このような利益侵害が発生するおそれがある。
(2) 本件認定処分の結果、果汁飲料について不当な表示がおこなわれ、自由かつ公正な競争が阻害されると、同原告は、この競争の停止による不利益、具体的には、競争が維持されていたならば、例えば無果汁飲料は、無果汁飲料にふさわしい安い価格で、また、無果汁ということがはつきりわかるという、買手にとつてより良い取引条件で、購入することができたのに、その利益が奪われることになる。このような競争阻害によつて生ずる不利益は、同原告自身がよく注意してだまされないようにするということによつては排除することができないのであつて、他の多数の消費者が、不当な表示によつて誤認するという事態がなくなることによつてはじめて排除される。すなわち、自由かつ公正な競争の確保によつてはじめて排除されうるのである。言いかえれば、同原告自身がだまされると否とにかかわらず、同原告は、競争阻害の結果生ずる高い価格その他の不利益な取引条件で取引せざるをえないという不利益を受けるのである。
(3) 本件規約に定める


