◆S49. 7.19 東京高裁 昭和48(行ケ)34 審決取消請求事件(4)◇
規約の成立をめざすあまり、法の趣旨からはずれて事業者と妥協する危険がある。このような妥協が行き過ぎて違法な認定が行なわれた場合には、消費者に不服申立の途を開いておく必要がある。もし事業者が本当に法の趣旨に合致した公正競争規約を作ろうとするならば、消費者に不服申立の資格を認めても何の障害にもならない筈である。
4 もし公正取引委員会が違法に公正競争規約を認定した場合に、消費者に不服申立ての資格がないとすると、次に述べるように著るしく正義に反する結果となる。
公正競争規約が違法に認定されたとしても、認定が取り消されない限り、そのような公正競争規約及びそれに基づいてする事業者または事業者団体の行為に対しては、独占禁止法の違反事件の審判に関する規定は適用されないことになつているから(景表法一〇条五項)、その規約上許された行為については、それが客観的には不公正な取引方法に該当する場合であつても、審判手続が開始されることは、法律上ありえない。そして、独占禁止法二五条に基づく損害賠償請求は、当該行為についての審決が確定した後でなければ、裁判上これを主張することができないとされているから(同法二六条)、結局、違法に認定された規約に基づく行為による損害については、同法上の損害賠償請求権を裁判上行使する途は、ありえないことになる。また、景表法は、売買契約についての基本法である民法上の売主について要求される契約の対象物を特定させる義務を当然の前提として、とくに対消費者取引における買主保護の目的で、取引を公正ならしめる種々の要素のひとつである表示について、より具体的に売主の義務を定めているものであり、さらに公正競争規約において定められる表示義務は、一般的抽象的なものではなく、各商品ごとに、使用すべき用語から活字の大きさにいたるまで個別的に公正取引委員会が検討し、認定したものであるから、それに適合する表示は、民法上違法性がないと考えるのが妥当である。さらに、公正取引委員会の認定を受けた規約どおりの表示をおこなつたということは、不法行為の成立要件である故意過失がないとされる場合が多いであろう。このように、違法に認定された規約に基づく行為による損害については、不法行為が成立するとされる


